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嵐山星造の短編小説 ブログトップ

ピンクの女神 [嵐山星造の短編小説]



AM 5:15








誰もいない道で、俺はいつものように、ZZRを寝かしこんでいた。
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8つ目のコーナーに入った途端、俺の目に映ったのは、センターライン上にたたずむ小動物の顔だった。








やばい!!








とっさにバイクを倒し、小動物を回避


ガガガガガガガーーーーーーー!!!







いつものバトルスーツが俺を守ってくれたけど

愛するZZRは、大きな摩擦音とともに、沼に一直線








駆けつけた時、水面には大きな波紋しか見えなかった。








ハァー








ため息をついた俺を、はるかかなたの藪の中で、一瞬小動物が振り返り、そして消えていった。






こんな携帯圏外の山の中で、どうしよ・・・・










すると、後ろの沼が、急に輝きだした。








光の中から現れたのは、ピンクのツナギを着た、女神







hoshizouよ。

よく、小動物を助けましたね。  礼をいいます。




めっ 女神っ





お前が沼の中に落としたのは、
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このピカピカのZZRかい









いいえっ









それとも、
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改造費100万をかけている、このZZRかい?







いいえ







それとも
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最新型のZX-14Rかい?








いいえ














それとも、
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すでに11万4千キロも走った、このボロボロのZZRかい?












女神様

私の落としたのは、この、ボロボロのZZRです。
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おおっ なんと正直な男よ!!














女神様

あと、GTRも落としたんですけど~
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そんなわけで、次男坊     

ヨロシク






息子からのお年玉 [嵐山星造の短編小説]

2014年 正月







家族で仙台の風物詩 初売りに出かけました。





なにかお目当ての物がある場合は、前日夜から並ぶのですが、なんとなくぶらつくといった感じです。





仙台の街中に着くと、子供たちは別行動
シューズ古着の店を回るそうです。

私は嫁さんの付き合いで、デパートをぶらつきます。




4時間後 合流しました。




そして、家に帰る途中、私は息子たちから三脚を買ってもらいました。
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自撮りに三脚は欠かせません。






現在使用している三脚は、かなり使用したので、調子が悪くなっていて、そろそろ買い替えかなとおもってました。
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マグネシウムの本体に、アルミ脚の組み合わせの、超軽量三脚です。





ビデオを設置してみます
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雲台の角度もワンタッチで調整できます。





全長940mm 
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一気に伸びます。








これは、世界最速との事
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ってことは、






『世界で一番早く三脚を伸ばすことができるライダーは、俺だ!!!』





















このお話、ちょっと詳しくお話しましょう。














仙台の街で私たちと別れた子供達







長男(24才)と次男(高二)が、賭けをしたそうです。



次男が勝てば、当日中、1万五千円までの買い物の支払いを長男がする。

長男が勝てば、目の前にある3000円の品を、次男が買って長男に渡す。



賭けの内容は、次男が勝つ可能性が高いような・・・・・・




きっと、社会人である長男が、高校生の弟にお年玉を渡すための口実だったのではないかと、親は思っています。






そんなわけで、次男が欲しいものを買ってもらうことになりました。





そして、1万五千円の権利の一部で、私に三脚を買ってくれたというわけです。










長男にしても、次男にしても、優しいエピソードだと思います。

























このお話、もう少しお話しましょう。











なんで二人は、このような行動をとったのでしょう?













じいちゃん ばあちゃんが、喜びはみんなで分けたほうが大きくなるって、いつも言っているからでしょうか?




















両親が、二人に注いだ愛情からでしょうか?

















それとも母が、会社でもらったお土産を、いつも家で分けているのを見ているからでしょうか?




















それとも、父が、電気屋の前でとった、行動からでしょうか?

















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(この物語は、ノンフィクションです。)




怖いな~   怖いな~  って [嵐山星造の短編小説]

久しぶりに、嵐山星造の短編小説です。










ひとみんさんの花火写真
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闇の中に差し伸べられた、たくさんの手のひらみたい。





ステキな写真ですね~























ちょーっとね、あたし、思い出しちゃったんですね~


カメラが好きな友人から実際、見せられた話なんですがね~。



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日本のですね、コレ 名前は出せないんですが、とある観光地。

白い砂浜
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砂浜の奥にあるのが、 断崖絶壁なんですよ。



 で、そこは、自殺の名所でもあるんです。












まだ、デジカメなんてない時代でしてね。



友人は、近くの砂浜で彼女を一眼レフでとってたんですよ。



モータードライブ付きのカメラでね。



今は、コンデジにも連写機能が付いていますが、当時は、珍しかった。











写した彼女のバックに、その断崖絶壁があるわけです。










で、現像した写真の束。 

hoshizou見ろって。







今は、デジカメで撮ったらすぐに、モニターで確認できるけど、当時は、現像しなきゃ見る事ができません。













あたし、なんか、渡された写真の束に、嫌~な気配を感じたんですよ。



怖いな~ 怖いな~ って思って、



でも写真をめくって行ったんですよ。








海辺で、白いワンピースで笑うかわいい彼女が、いろんなポーズをとっています。


他愛もない、彼女のかわいさを見せ付ける写真が続くのですが・・・・・・・・









最後から5枚の写真

彼女の後ろの断崖絶壁から、女の人が落ちていくのが、偶然写っているんですよ。



崖の上から   




一枚目  





二枚目  





三枚目・・・・ 落ちていくのが順に写っているんです







やだな~   怖いな~   って、






最後の5枚目  まさに、水面に落ちるその瞬間の写真に・・・・










海面から、100本の腕が伸びているのが写ってたんです。













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喜んでいただけたでしょうか
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星川淳二























おまけの動画

私が九州単身赴任中に訪れた、伊万里の川南上洗浄跡地の動画です。
人間魚雷などを作った、戦争遺産でもあります。

この動画の最後に、私自身に本当にあった出来事を入れています。

女性は見ないほうがいいと思います。

最後は本当に会ったお話です。


その時のツーレポがココ

妄想小説  『レインボー戦隊 のぽレンジャー』 [嵐山星造の短編小説]

2016年 6月

あれから、もう、5年の年月が過ぎた夏の終わり。








彼女は、先日買い換えた、白いVTRに声をかけた。

「今日はちょっと頑張ってもらうわよ。」
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グイィィーン   VTRも、返事をする。












彼女は、久しぶりに川口の料金所のゲートをくぐった。
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白い相棒と東北道を走るのは、初めての事だった。

「きいろいのは、げんきかな~」

親戚の女の子のところに嫁いでいった、黄色いVTRを思い出していた。













しばらくすると、バックミラーにパッシングするバイクが映った。
あの、赤・白・青のCBRは、トリコのぽだ。
彼とは、バイク仲間と同時に、自転車仲間でもあり、ご近所さんなのである。
VTRに並ぶと、トリコのぽは手を上げ、直ぐにスピードを落とし、彼女の後ろについた。
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2台が、蓮田SAに到着すると、既に、赤いCBRが停まっていた。
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朝GOライダーのあかのぽである。
本来、彼は、早朝に走り、11時には帰宅するのだが、今日は彼女のツーリングに参加する為、特別にやんやんちゃんに許可をもらったのだ。



おはようございます。  それじゃ行きましょうか。


三人は、北を目指した。













安達太良SAには、待ち合わせの時間より1時間も前に到着した。
ここで、おでかけしたら1日1ソフトをする。
何で、ライダーは、ソフトが好きなんだろうね。
たわいも無い話をしていると、北陸自動車道経由の、九州組が入ってきた。











カワセミカラーがまぶしい九州組の隊長
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さすらいの廃墟マスター  あおのぽ!!










ディトナを操る長距離ライダー 
植物と神社を愛する大自然の守護神。
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永遠のマドンナ  きいろのぽ!!  











カマキリのような精悍な二つの目が光る!
風のように雲のように自由に駆け巡る、
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麗しの歌姫  みどりのぽ!!















お久しぶりです。
始めまして。

再会あり、初対面あり、挨拶はいろいろだけど、みんなブログで、ずっとお付き合いをしている顔見知りなのだ。

こんなのっていいな。  彼女は、微笑んだ。















そろそろ行きますかっ

あおのぽがみんなに声をかける。

当然先導はあおのぽである。






彼が、好む好まざるに関わらず、なぜか彼からは、先導オーラが出ているのだ。

6台は、東北道をさらに北上する。













宮城県に入ると、蔵王連邦が左手に見え始める。







一同は、東北に来た事を実感しつつ、菅生PAに滑り込む。

遠くからでも、ひときわ目立つ男が、駐輪場で待っていた。
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真っ黒なバトルスーツに身を包んだ、サングラスの男、くろのぽである。
ニヤニヤしながら、到着する6台をビデオに撮っている。












「みんなっ、久しぶりっ   去年の2015ファイナルツー以来ですね~」

もう誰もファイナルツーという言葉に、ツッコミは入れなくなっていた。











さあ、次の仙台南インターから三陸道に向かいますよ。
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そう言ったくろのぽは、先導するのかと思いきや、ちゃっかりあおのぽの後ろについている。






青・黒・赤・白・トリコ・黄・緑

七色のバイクがそろって三陸道を突き進む。









三陸道は、その名前とは裏腹に、ほとんどを山の中を走る高速道路である。










石巻・河北・桃生豊里・登米を過ぎて、志津川ICにさしかかった時、彼女の目に、南三陸町の海の青が
飛び込んできた。
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ここまで来たんだ。   もう少しだっ

彼女の心臓は高鳴った。




自然とアクセルを開ける。
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それを察したあかのぽもペースを上げる。


先導のあおのぽにも、その想いは伝わり、あっという間に終点の気仙沼インターを抜けていた。











彼女が絶望した、気仙沼の壊れた町並みは、そこにはなかった。

近代的なビルが立ち並び、大きな貨物船やフェリーが係留されている。







県道26号線を東に進むと、彼女が一番来たかった場所があった。


気仙沼市唐桑町  
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5年前彼女がボランティアに来た場所だ。




















2ヶ月前、一通の手紙が彼女の元に届いた。







今年は、岩牡蠣が、とても大きく育ちました。

そろそろ旬を迎えます。お友達を誘って是非食べにきてください。














彼女がブログで呼びかけたところ、この7人の食いしん坊が全国から集まったのだ。






「さあ、早く牡蠣を食べようよ」

美食家のあかのぽは、待ちきれない。






「ちょっと1分間だけ待って。」

彼女は、大きく磯の香りを吸い込むと、目を閉じて、耳をすます。








5年前の、ヘドロのにおいや、重苦しい重機の音は聞こえない。



リズミカルな漁船のエンジンと、子どもたちの笑い声が遠くに聞こえる。







彼女は、ずっと待ち望んでいた風景を楽しんだ。






それを黙って見つめる、6人。











「さあっ いこうかっ」


待ってましたと、おどけるトリコのぽ。


母親のように微笑む、きいろのぽ。



黙ってうなずく (T▽T) みどりのぽ。











7人が向かったのは、海鮮小屋。





彼女は、ずっとご主人と話している。

5年前に、ここで知り合った、手紙の主である。








唐桑の牡蠣は、復興の牡蠣。  そして、他県の漁師との絆の牡蠣。

真牡蠣が主体だった唐桑半島だが、震災後、岩牡蠣も取り扱うようになった。

  


  




あの津波からよみがえった唐桑の牡蠣は、生命力に満ち溢れ、心が熱くなる味だった。























「もう少し走ろうか。」


あおのぽの提案に、うなずく6人。





国道45号線リアス式海岸を北上する7台。

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青い海と白い波の風景だけを見ると、誰が5年前の悪夢を信じるだろうか。








「それじゃ、この辺で集合写真を撮って、宿に戻ろうか。」





漁港に入り、セルフタイマーをセットする7人。







「せぇ~のっ」    


ピッピッピッピッピピピピピ


「イデヨ イェンロンッ」  カシャッ









「んじゃ、次は、 せぇ~のっ」   


ピッピッピッピッピピピピピ


「レインボー戦隊 のぽレンジャーッ」   カシャッ










「次は、スパイダーメ~ンでっ  せぇ~のっ」   


ピッピッピッピッピピピピピ


「スパイダーメ~ン」 「私はイヤッ    」    カシャッ










みんなで遊んでいると、係留している小さな漁船から、険しい顔をした漁師が降りてきた。
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つかつか歩み寄ると

「これっ 生で食えっからっ」  といって、ホタテの貝柱を出してくれた。


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漁師が軽トラックで去った方角を見たまま、動かないくろのぽ。


彼は、流れる涙と鼻水をぬぐおうともせず、汚い顔をして、エグッエグッと号泣している。



どうしたの、と問いかけるみどりのぽを、彼女は制して、先に宿に戻りましょうと言った。







夕暮れの漁港で泣いているオヤジをおいて、6台は、唐桑の海に向かいました。
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今日は、これから、震災の日にあわせて、灯篭流しがあるのです。

終わり

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『レインボー戦隊 のぽレンジャー  再会の海』

作  嵐山(あらしやま)星造






参考文献 再び北へシリーズ



6月の悪夢 [嵐山星造の短編小説]






6月の悪夢







みさえは、朝から同僚の響子のことが気になっていた。
最近顔色が悪い。
大丈夫大丈夫と気丈に振舞って仕事をこなしているが、それでも響子の一番の親友であるみさえには、わかるのだ。

特に今日の響子は、これまでにないくらい憔悴しきっている。
昼休み、みさえは思い切って聞いてみた。



「ねえ、響子。本当のことを言って。  何か隠し事していない?」

最初は、かたくなに、平然を装っていた響子ではあったが、みさえの気持ちが伝わったのだろう。
その重い口を開いた。


「信じてもらえないかも知れないけど・・・・  私、夜が怖いの・・・・」

そのとき、みさえの携帯電話が、震えた。
メールが届いたのだろう。
ブーーーン ブーーーンと携帯電話がうなる

「イヤーーーーーーーー!!!!」
響子は悲鳴と供に、意識を失った。









医務室で目を覚ました響子は、みさえに打ち明けた。

「私、夜が怖いの・・・・・・」

「どこにいても、悪夢がやってくるの・・・・・」

「悪夢は、メールに乗ってやってくるの・・・・・」

「今日も、明日も、明後日も、やってくるの・・・・・・・」

「あのメロディが聞こえるの・・・・・・・・」


混乱している響子の言葉を、みさえはさえぎらず、うなづきながら聞いている


「私、もうだめかもしれない・・・・」

「私、もう、戻れないかもしれない・・・・・・」



みさえは、強く響子の手を握って言った

「わかったわ、今日から私が一緒にいてあげる。今日は私のアパートに来て。
明日は、私が行くわ。ふたりならば、悪夢は来ないわ。」








午後9時 食料とワイン雑誌をたくさん抱えて響子がやってきた。





みさえと一緒だと落ち着くのだろう。
久しぶりに見る、響子の笑顔だった。
二人はテレビを見たり、お互いの学生時代の話をしているうちに、どんどん時間が過ぎていった。






時計を見ると、すでに2時30分を過ぎている。





「みさえ おきてる?  そろそろ、悪夢が来る時間だわ。 ねえ?」



「・・・・・・・・・・・」


先ほどまで大声で笑っていた、みさえからの返事は無かった。

「みさえってばっ   みさえっ」

響子はみさえを激しく揺り動かしたが、まったく反応はなかった。

頭も腕もまったく抵抗無く動き、みさえからは生気が感じられなかった。





「お願い 目を覚ましてっ みさえーーーーーー」




叫んだときに、響子の携帯電話が、メールが届いたことを知らせるため、震えだした。




響子の長い悪夢が始まった

いつものメロディとともに・・・・・・・









続きは、この動画で



 

5月の白昼夢 竪坑櫓編 [嵐山星造の短編小説]




「じゃ、ちょっと納品してくるけん」
「いってらっしゃい 社長」


社長と呼ばれた男、大池は、車を志免町に走らせた。
決して大きくない町工場では、社長といえども製品の配達をしなくてはならない。
今日は、一番のお得意様である会社への納品日である。
ちょうど日曜日と重なったが、先代からのお得意様であるこの会社への納品は、必ず大池が行うと決めていた。

車の窓を開けると、5月のさわやかな風が車内を通り過ぎた。
バイクに乗るには、いい季節だな」
大池は、一人つぶやいた。




納品を終えると、大池はコンビニで弁当と缶コーヒーを買い込み、いつもの場所に向かった。

志免町総合福祉施設シーメイト
公園が併設され、隣には、旧志免鉱業所竪坑櫓がそびえている。
営業車の中で弁当を食べた後、公園を歩いてみる。
暖かな日曜日の公園は、多くの家族連れでにぎわっていた。



小高い丘の横にある、いつものベンチに腰をかけると、缶コーヒーを口に含み、ある男の事を思い出していた。
「シェンロンの丘か・・・・・あいつは、竪坑櫓が大好きだったなぁ」


多忙を極める大池が、一番オートバイに没頭していた、30年前。
何かと頼ってくる男がいた。
今は名誉会員という肩書きをもらい、第一線を退いてしまったマイナリストの中で、
当時、大池は自らが中心となってツーリングの企画や、先導をしていた。

「来週、バイクでそっちに向かうんで、どこか連れて行ってください。」
いとも簡単に電話をしてくるやつだった。
どこでもいいですから、という割には、竪坑櫓だの角島だのいろいろ注文してくるので、ルートを決めるのは一苦労だった。



遠くで数台のバイクの音が聞こえた。
ツーリングかなぁ・・   
ウトウトしながら、そう思ったときに、急に携帯電話が震えた。

うるさいなぁ思いながらも携帯を取り出すと、大池の目に飛び込んできたのは、
ディスプレイに光る、あいつの名前だった。

驚いて、電話を開く
「もしもしっ  もしもし・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


受話器からは、何も聞こえなかった。




「まさかね。   さあ、戻るとするか」
大池は、小さく背伸びをすると、営業車に向かった。










ちょうどその頃、遠く離れた仙台病院で、一人の老人が静かに息を引き取った。
見取った家族の話によると、息を引き取る前に、何度もニヤリ・ニヤリと笑っていたそうである。
奥さんは小さく微笑みながら
「きっといろんな人に会ったり、いろんな場所を走っていたんでしょうね」と言っていた。

彼の人生は楽しかったにちがいない。












三回続けてお楽しみいただいた、「5月の白日夢」シリーズは、今回をもって終了となります。

しかし、物語は無限に広がっていきます。

今から30年後、この老人は皆さんのところに、どんな形で現れるのでしょうか。

そんな事を考えつつ、この男と付き合っていくのも、ひとつの楽しみでしょう。

これからもよろしくお願いします。         嵐山(あらしやま)星造







----------------5月の白日夢シリーズ--------------------

〇5月の白日夢 【ちっぽら食堂編】

〇5月の白日夢 【阿蘇編】

5月の白日夢 阿蘇編 [嵐山星造の短編小説]




5月の白日夢  【阿蘇編】



香織とマサトは、仲の良い女友達。
ゴールデンウィークも終わった、5月の日曜日。
マサトの運転するBMWに乗って阿蘇のお店に向かっていた。

マサトは、名前の示すとおり、サバサバした男勝りの女性で、香織はもう、30年以上も遊んでもらっている。

今日は、半年に一回行われる、「ガールズトークの日」なのだ。
一度、メンバー全員が50歳を越えたとき、おばさんトークに改めようかという提案があったが、全員一致で却下され、ずうずうしくも、いまだにガールズトークとなっている。




お店では、すでに、この店の常連となっている「伝説の3バァ」がすでにガールズトークを爆発させていた。
酉バァ・菊バァ・ちゃつバァの三人は、一番奥の席を陣取って、大騒ぎ。
酉バァにいたっては、勝手に冷蔵庫を開け、つまみを作っている。


「こんにちは~ あやママ。 みんなは?」
「いらっしゃい。3バァは奥よ。」

二人に気がついた菊バァが手招きをしている
「かおり~ん マサトさ~ん こっちこっち。 ゆうさんは、個展の準備でこれないって。きっと、ヤマセミ撮ってるのよ。」

ちゃつバァがいきなりガールズトークを爆発させる。
「どうせ個展開いたって、いつものように写真なんて売れないんだから、こっちに来ればいいのにね。」
他の二人も
「売れたって話、この10年間で3回、いや4回しか聞いてないよ」
「そうそう、前は天神で開いてたけど、今は、西新って話よ。」
「ギャラリーを3日間借りるだけで、15万ですって。」
「それだけあれば、10回は温泉にいけるわ。」
健康ランドなら150回よ。」  


大体、ガールズトークの最初のネタは、欠席者になることが多い。
だから、みんな出席するのかもしれない。



1時間程トークが続き、一息ついたところで、酉バァが叫んだ
「あやママ~   もうノートないよ~   新しいの頂戴~」
「ハイハイ。だってあんた達、一度に5ページ書くんだから。 ちゃんとここに用意してあるわよ。」

あやママが一番上の棚から真新しいノートを取り出したとき、数枚の写真が落ちてきた。
「あらっ  この人・・・」
香織が一枚の写真を手にとると、そこには、トレードマークのサングラスにリーゼント、ヒゲのいかつい男が写っていた。

ちゃつバァが写真を取り上げる。
「あ~  こいつは・・・・・・え~と  あいつだ。   仙台からよく来ていたやつ。」
今度は、酉バァが写真を奪い取る。
「こいつは、ウンキョがすきでねぇ。3時間もウンキョの話をしたことがあるよ。名前がでん。」
菊バァが続く
「そうそう、ウンキョ男    え~と  そうそう hoshizouさんよ。」
マサトが、写真の日付に気付く
「2011年5月20日か  そういえば、震災のあった年に、hoshizouさん来てたわね。
ここにも寄ったんだ。」


それから、しばらくの間、hoshizouのネタを皮切りに、30年前のライダーだった自分達の話に突入していった。
マイナリストの懐かしい名前も、たくさん出てきた。
5人の話は尽きず、今日のガールズトークは、これまでにない盛り上がりを見せていた。





「今日はいつに無く元気ね~」  
夕べ遅くに、写真の整理をしたから、何枚かが棚に紛れ込んでいたのだろう。


あやママが、テーブルを片付けながら、もう存在の忘れられた写真を手にとったとき、写真の中のいかつい男が、大きく手を振った。
「えっ?」 
すると、もう一枚の写真の彼も、振り返って、ニヤリと笑った。
「ええ~っ?」
 
もう一度見直すと、もちろんそれは、何の変哲も無い、古い写真だった。
「まさかねっ」
あやママは、写真を元のアルバムの中にしまいこんだ。












ちょうどその頃、遠く離れた仙台の病院で、一人の老人が静かに息を引き取った。
見取った家族の話によると、息を引き取る前に、何度もニヤリ・ニヤリと笑っていたそうである。
奥さんは小さく微笑みながら
「きっといろんな人に会ったり、いろんな場所を走っていたんでしょうね」と言っていた。

彼の人生は楽しかったにちがいない。



5月の白日夢 [嵐山星造の短編小説]


5月の白日夢



ここは、山口県のとあるレストラン。
ゴールデンウィークが終わった次の日曜日の午後。
20代前半の孫娘と一緒に、初老の男が入ってきた。


「よお、二代目 お邪魔するけん」
「ああっ うめづのじっちゃん いらっしゃい。 おっ今日は翼ちゃんも一緒かい」
マスター こんにちは。また、おじいちゃんのお付き合いよ。」

三人は、昔からの知り合いのようだ。

「たまにこんと、あの落書き消されるけん。」
「親父が好きだった落書き、消せるわけないじゃないですか。」

老人はおしぼりを受け取ると、いつものように、一番奥の壁の前でかがみ込む。

「おじいちゃーん なんにする? いつものカレー?」
「おおっ カレー カレー  もちろん、たまねぎ乗せで。」
「マスター それじゃ、私はパスタランチね。」

翼は注文を終えると、老人の横にしゃがんで、一緒に壁をみる。
幼稚園に入る前から、おじいちゃんと一緒にこのレストランに来ていた記憶がある。
短大を卒業し、福岡で一人暮らしを始めても、たまにおじいちゃんと一緒に来ているのだ。
そして、若い頃のおじいちゃんの話を聞くことが、翼の恒例行事である。

「わしが、廃墟ハンター隊長として、一声かけると九州中から1000人のバイク乗りが集まったもんじゃ。
ほれっ  このポーズはな。わしらがやっとったのを見て、人気アニメで使われるようになったんじゃ。  
いいか、こうやって上を向いて、イデヨシェ・・・イタタタタ」
「アハハハハ おじいちゃん、もういいってば。  100回は聞いたよ その話。」



「あれっおじいちゃん この 2011.5.21って、たしか、東日本大震災のあった年よね。」
「そうじゃ ほれっ、このhoshizouって奴は、震災があった仙台からやってくる男だった。」
「へぇ~ そんな遠くから来てたんだ。  どんな人なの?」
「福岡に単身赴任で来とったら、九州がだいすきになってのぉ」

「お待たせしました。カレーとパスタランチ 奥のテーブルおいておきますね。」

二人は、席についても話を続けた。

「あの男は、東京に異動しても、仙台に帰った後も、よう来ちょった。
そうそう、いつもビデオを持ってきては、撮影しちょったっけ。」
「へぇ~ みんなの事が好きで、撮影してるんだ。」
「いいや あいつが好きなのは、自分やけん、いつも三脚で自分を撮っちょった。
そして、いつも、そのまま忘れて置いていくけん、いつもわしが探しに行っちょった。」
「アハハハハハ 変な人」
翼は、この話も何度も聞いているが、嬉しそうに話すおじいちゃんを見るのは飽きなかった。

話が、俵山の早朝ツーリングに差し掛かったとき、


「ねぇねぇ 響さん  ひびきさんてばっ」


後ろを振り向くと、そこにはトレードマークのサングラスとリーゼントにヒゲ、バトルスーツを着た、いかつい男が立っていた。

「うわー hoshizouさんじゃないですか!!」

老人がびっくりして目を丸くすると、その男は、とっても嬉しそうに、大きくニヤリと笑った。







・・・・・「おじいちゃん おじいちゃんってば 早く帰らないとお母さん心配するよ。」



「ハッ  うっかりウトウトしてしまったわい。  二代目 それじゃ また来るけん」
「ありがとうございました~。」

「おじいちゃん 来月は忙しいから、7月の日曜日にまた来ようね」
腕を組んで若葉マークの車に乗り込む二人を、マスターは笑顔で見送った。











ちょうどその頃、遠く離れた仙台の病院で、一人の老人が静かに息を引き取った。
見取った家族の話によると、息を引き取る前に、何度もニヤリ・ニヤリと笑っていたそうである。

奥さんは小さく微笑みながら
「きっといろんな人に会ったり、いろんな場所を走っていたんでしょうね」と言っていた。


彼の人生は楽しかったにちがいない。



劇的 ZZR物語 [嵐山星造の短編小説]

私の大好きな、スーパーサイクロン

2009年、3月に1万キロで購入

まもなく2年が過ぎようとしています。



このところ、仙台に戻って自粛している事もあり、走行距離が伸びておりません。


それでも、2月20日 ついに7万キロになりました。

20110220_52.jpg
昨年までは、年間4万キロのペースでしたが・・・・





え~ おまえのタイヤ、10ヶ月もったの~?  
同じタイヤだよな~  俺の4ヶ月でダメになるんだぜ。
ツーリング主体で、おとなしい運転なんだぜぇ。  おっかしいなぁ

コレ、私が真剣に話したセリフ。   実話です。














さて、今回は5分の動画です。

この音楽はじめて聞いた時から、いつかは作ろうと思っていたものです。



もう、最初の30秒で、最後までの展開が想像できる動画。

そして、その想像は、決して外れません。

なんということでしょうって、言いたかっただけです。。。




先週と今週は、響さんを超える頻度でアップしてしまいました。
ちょっとの間、またお休みしますね~

一つのドラマ [嵐山星造の短編小説]

入院2日目

一つのドラマに遭遇しました。


私の病室は9階

気分も良くなってきたので、地下の売店まで
冒険に行きます。




エレベーターランプが、6で止まり、開いた扉から入って来たのは、
純白のウェディングドレスに身を包んだ花嫁

そして、花婿とフォーマルスーツの家族がつづきます。


エレベーターが動き出した時、花婿がそっとささやきました。


「おばあちゃん 喜んでくれたね」




みんなが1階で降りた後、私はこっそり、
小さなガッツポーズをしていました。
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